• 永森 咲希

港区助成事業「夫婦の困難 どう乗り越える?第2回 流産・死産を乗り越えて ~当事者の立場から・支援者の立場から~」

最終更新: 2019年2月18日

2016年10月30日、港区の助成事業として選定されたMoLiveの企画、「夫婦の困難どう乗り越える? 第2回 流産・死産を乗り越えて ~当事者の立場から・支援者の立場から~」が無事終了しましたことをご報告させていただきます。


定員に達したため、1部2部共にお申し込みをお断りさせていただいた方々、申し訳ありませんでした。


流産・死産の体験は容易に人に話せない、話したとしてなかなか理解してもらえないという側面があるがゆえに、自分だけで、またご夫婦だけで抱え込みがちです。ですから、今回企画した会への参加者も少ないのではないかと想像していました。ですが、1部も2部も定員を超えるお申込み。新潟から参加くださったご夫婦もいらっしゃいました。



流産や死産、特に流産などは「よくあること」という言葉で括られがちです。


よくあることだから、悲しんでばかりいてはいけないのか。 よくあることだから、立ち止まってはいけないのか。 よくあることだから、抱え続けてはいけないのか。


タイトルにつけた“乗り越えて”という言葉。果たして本当に乗り越えられるものなのか。 そんなことをみなさんと一緒に考えました。


1部は3名の講演、2部はグループに分かれてのお話し会(わかち合いの会)。


1部の講演の1人目のお話しは、コウノトリこころの相談室を開いている池田麻里奈先生。 タイトルは「私の死産体験談 ~あの時から5年~」。 暮らしに遊び心を加えながら、日頃活動的に過ごされている池田先生が、5年前に経験された死産についてお話しくださいました。



経験を語るということは、その時に立ち返り、その時の記憶と思い出をあらためてなぞるということ。辛い時間にもなります。

赤ちゃんがお腹の中で亡くなってしまった時のこと、処置をする前の晩の思い、生まれてきた赤ちゃんとご夫婦がどんな対面をされたか、そしてどんな思いで空にみおくったか。また5年間、どんな気持ちで時を過ごしてこられたか・・・。


聴いている参加者の方々も私も、池田先生の5年前に共に戻り、あたかも池田先生のご経験を間近で見ているようなそんな感覚にもなり、切なく胸がしめつけらると同時に、貴重な経験者の心の声をお聞かせいただけたことに感謝した次第です。


2人目の話は、私、永森咲希でした。 タイトルは「聞こえてきたメッセージ」。


私の流産と不妊治療は密接な関係にあります。治療の経緯から流産をした時のこと、さらに治療に執着したこと、そして子どもをあきらめるきっかけになったこと、あきらめてからの気持ち、そして失ったベビーからもらった今も大事にしているメッセージと、「今の私」「これからの私」についてお話しさせていただきました。


3人目のお話は、お空の天使パパ&ママの会 WAIS代表の石井慶子先生。 タイトルは、「流産・死産の悲しみとカップルの抱える困難」。


石井慶子先生は、流産・死産・新生児死を経験した夫婦を14年間支え続け、聖路加国際大学客員研究員として「天使の保護者ルカの会」で、グリーフカウンセリングを担当。当事者の悲嘆のかたちや周産期のグリーフケアについて研究しておられます。

流産・死産という「いのち」を失う死別体験はどのようなものなのか、この死別体験に伴う悲嘆の反応はどういう形で表れるのか、またカップルにおける悲嘆の違いや、過ごし方のヒント等について、事例を交えながら、学術的にお話しくださいました。

落ち着いた物腰で大変わかりやすくお話くださり、多くの参加者の方が「安心できた」と仰っていました。


そして、参加者のみなさん、真摯にアンケートにご協力くださいましたので、一部抜粋してご紹介させていただきます。


【1部講演会の感想(一部抜粋)】


<当事者の方々より>


☆ それぞれの先生がご自身の体験をご自身の言葉でお話しくださり、自分だけじゃなかったとあらためて気づき、共感できました。


☆ 流産・死産を繰り返し、不育症と診断され、その後なかなか妊娠できなくなり孤独の中にいる中、こんな温かく優しい会に参加でき有難く思います。このような経験をした人が周りにいなくて「自分だけが前にすすめていない」と思っていました。今回初めてこのような会に参加して、一人じゃないと思えましたし、心が軽くなりました。今回勇気を出し、本当によかったです。


☆ 「悲しみから早く抜けないといけない」とどこかで思っていましたが、5年経っても涙される池田先生を見て、悲しいのは当然のことと安心しました。永森先生の「卒業はない」でも「波をやり過ごす、そんな乗り越え方はある」というお話しは、自分がなんとなく感じていたことと一致して、勇気をもらえました。石井先生のお話しは「なるほどな」と思わされる点が多く、とても安心できました。


☆ みなさん大変つらいご経験をされたそのお話しから、妻の反応がごく自然だということがわかりました。


☆ 自分が経験したことに対して、これまで何かにすがりたい気持ちがあり、でも「自分で探さないと見つからない」という苦しい状況がこの1年ありました。今日、先生方が同じような経験をされたことを「聴けた」ことが、私にとって何よりの安心になりました。


<医療者の方々より>


☆ 不妊症治療の後の流産・死産の悲しい体験を伺い、日頃の医療現場で経験者の思いを酌んだケアの必要性を感じました。また、流産・死産を経験されたカップルには、長期的なサポートが必要なのに、現実的にはそのような場所、機会が非常に少なく、今日の企画は大変有意義であると思いました。


☆ 医療者・支援者として、当事者の方とお会いする時は、それぞれの思いを否定せず、誠実に向き合いたいと強く思いました。体験談を伺えたことで、今までよりも心と腰を据えて、患者さんや当事者の方々のお話を聞けるようになるかなと思っています。


☆ とても良いお話を伺うことができました。石井先生の「心をどうもっていくか」看護師としてとても勉強になりました。


☆ 流死産の際、後の対応(主に病院)に関して寂しいなと思うことが多いので、サポートが一般化されることを願います。



2部は、同じ体験をした方々が6~7名ずつのグループに分かれてのお話し会。

講演会を共に聴いた後ということもあってか、どのグループも早い段階からさまざまなお話が出たようです。


泣いたり笑ったり、時には自分と似ている感情の方がいることにほっとされたようなご様子だったり、全員の方がよくお話しして下さいました。参加者皆さんが、他の方の気持ちを尊重し、内容濃く大変有意義な時間を過ごされたのではないかと感じました。


下記は2部のアンケートです。


【2部 お話し会の感想(一部抜粋)】


☆ 同じ経験をした方々にたくさんお会いできて嬉しかったです。


☆ 普段ほとんど口にすることのない気持ちを話したり、いろいろな方のお話が聴けて、心が落ち着きました。また機会があれば参加してみたいと思います。


☆ 同じ悩みを抱えていますが、それぞれ皆さん違った背景、経験をお持ちなので、参考になることがたくさんあり参加してよかったと思いました。


☆ 自分の正直な思いを話すことで気が楽になりました、また、他の方の話を聴くことで、自分ひとりではないと思うことができました。ありがとうございました。


☆ 皆さんと思いを共有でき、来る前はまた辛い気持ちを思い返して沈んでしまったらどうしよう・・・などと思っていましたが、とてもスッキリできました。悩んでいるのは自分だけではないと安心しました。


☆ 話すことは勇気が要りますが、話すと心が軽くなりました。


☆ 会に参加すること自体大変悩み、勇気が必要でしたが、思い切って来てよかったです。


1部2部共にアンケートを拝読し、開催の意義を再認識すると同時に、参加者のみなさんからいただいた「ぜひまた実施してください」といった声を大事に、本企画、継続していきたいと思っています。


今回の開催にあたり、深い理解と共に細部に亘り細やかな心配りをしてくださった港区リーブラのスタッフの皆さま、広報に力をお貸しくださった皆さま、関係者の皆さま、本当にありがとうございました。


永森咲希

39回の閲覧
Contact

オフィス永森  OFFICE NAGAMORI

東京都港区南青山2丁目2-15 ウィン青山942
一般社団法人MoLive(モリーヴ)内


Tel:03-6868-3944(月〜金 10:00-17:00)
Fax:03-6893-3931

MoLive_banner.png

一般社団法人MoLive(モリーヴ)

© 2020 OFFICE NAGAMORI