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聖心女子大学で社会人も学べます!- 『BE*hive(展示+ワークショップ)』


わたしの母校、聖心女子大学の教育理念は、『一人一人の人間をかけがえのない存在として愛するキリストの聖心(みこころ)に学び、自ら求めた学業を修め、その成果をもって社会との関わりを深めることにある』です。


「ひとりひとりの人間はかけがえがない」


どんな場所にいるどんな人も唯一無二の存在であり、その存在は平等で、その命は尊ばれるべきもの。これは世界共通に掲げられる理念ですが、多様性が謳われる今の時代こそ、われわれはこの言葉の真髄を考えていかなくてはいけないのでしょう。


聖心女子大学では、グローバルな共生を実践するための教育、研究、社会活動を目的に、2017年4月に「グローバル共生研究所」を設立しました。

この研究所は、地球規模の課題に関わる研究を行うことに加え、市民団体などと連繋し、地域や社会に向けた様々な講座やイベントを開催しています。


(聖心女子大学グローバル共生研究所(大学4号館)の入り口)


そして、ユニークなのが、『BE*hive(展示+ワークショップ)』。

学生に限らずどんな人でも訪れ、展示を見て知識を得、考え、学べる場。何を隠そう、恥ずかしながら私もごく最近知り、展示を見てきました。


2017年から世界規模の課題についての現状や研究について、2年毎にテーマを変えて展示をし、これまでの「難民・避難民展」や「気候変動展」といったテーマに続き、現在は下記について展示されています。


女性の生き方「"命" について考える」と、緒方貞子さんと聖心の教育理念について。


(現在の展示のちらし類)


「"命" について考える」は、私の活動のテーマ且つ大変興味深い内容ゆえ、拝見してきました。


■ いま「女性」はどう生きるか 2021年5月~2023年4月

・第1期 自分に力をつけて社会を変えよう

・第2期 さまざまな結婚のかたち

・第3期 纏足の歴史と「#KuToo運動」

・第4期 ”命”について考える ★←今、こちら開催中


■「緒方貞子さんと聖心の教育」2021年5月~2023年4月


この第4期の展示「"命" について考える」は、聖心女子大学現代教育学部心理学科教授の中野博子先生と、准教授の神前裕子先生がリードされ、出産ジャーナリストの河合蘭さんとチームを組み、進めてこられた企画。

河合蘭さんのオフィシャルサイト → http://www.kawairan.com/



中野博子生と神前裕子先生おふたりのメッセージから、一部抜粋します。


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あなたはどのように生まれてきたかについて知っていますか?


すべての人間は、生命として等しく誕生します。

しかし、そのあり方は多様であり、一人として同じ誕生はないでしょう。

誕生にいたるまではいくつものハードルがあり、たくさんの奇跡が重なって、我々は生まれてきました。


(省略)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


特に、現代社会では人の生き方、家族や性の在り方が多様化しています。

妊娠や出産についての考え方もさまざまでしょう。

いつ産むか、どうやって産むか。そもそも、産むか産まないか。

こうした私たちひとりひとりの思いや悩みにこたえる選択肢を、現在の医療や科学技術は確かに用意してくれています。


しかし、それだけですべてが解決するわけではないかもしれません。

本展示では、ひとりひとりが安心して妊娠・出産をめぐる選択や判断をしていくために、他にどのようなサポートが必要なのかについて、皆さんと考えることを目的としています。


(省略)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


どのような生き方を選択してもすべての人が包摂され、必要なときに支援が受けられる社会について考える、そのきっかけとなることを願って、私たちは本展示を企画しました。


(聖心女子大学現代教養学部教授 中野博子先生と、准教授 神前裕子先生のメッセージ)


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入り口を入ると、「命のはじまりと世界の現状」についての展示からスタート。


”SRHR(Sexual and Reproductive Health and Rights)"の説明にはじまり、妊娠・出産について国際状況の比較パネルなどが展示されていますが、ひとつの事柄についてグローバルな視点で広く考えてみることができます。


たとえば、イギリスは出産費用が無料だとか、中国では半数以上が帝王切開だとか。その背景や理由も掲示してあるので、「へぇーボタン」を何度も押してしまう感じ。


新型出生前検査や検査をめぐる各国の状況など、世界の視点で生殖環境を比較できるのも、私自身とても興味深かったですし、学生の時にこういった資料やデータを見ることができたら、妊娠・出産をもっと具体的且つ身近な自分事としてイメージできただろうに、なんて思ったりしました。


(清潔感溢れる見やすい展示)


また、出産ジャーナリスト&写真家の河合蘭さんの写真展「Birth! Birth! Birth!」も、奥の特別展示室にて開催されています。



河合さんの写真を見ていると、ひとりひとりの命の誕生にドラマがあることや、どんな命も重く尊いものであることをあらためて意識させられます。


これから子どもを願う人の命も。

子どもを持ちたくない人の命も。

子どもを持つことに悩む人の命も。

子どもができずに涙をのんであきらめる人たちの命も。

親になる夫婦の命も。

生まれてくる子どもの命も。

子どもを育て上げた人の命も。


この世に誕生することが奇跡的なことだということがわかる写真展、こちらは1月28日(土)までですので、関心のある方はお見逃しなく!


大先輩の緒方貞子さんの展示も、なかなか知り得ない個人的な成育環境やチャーミングなお人柄を彷彿させるさまざまなエピソード含め、教えの多い内容でした。


(緒方貞子さんの理念とエピソードで溢れる緒方ワールドコーナー)


私が好きな緒方さんの言葉。


「隣の人は自分とは違うのです。違った部分は、より理解するとか、より尊敬するとかしなくては」


類は友を呼ぶではないですが、人はつい自分と同じ匂いのするものに引き寄せられたりしがちです。自分と同じだからいいとか。


緒方さんの言葉から、金子みすゞ詩人の「みんなちがってみんないい」を思い出しました。


これから妊娠・出産を考える若い世代の方のみならず、お子さんがいらっしゃる方もお子さんと一緒にご覧になってはいかがでしょう。生殖をめぐる環境は、ご自身が出産された時とは変化していますから。



オフィス永森

一般社団法人MoLive(モリーブ)

代表

永森咲希





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