去る7月2日(火)の夜、いわき市にてNPO法人日本不妊予防協会主催の「不妊予防フォーラム in いわき」が開催され、登壇させていただきました。
平日の夜にもかかわらず、200名を超える方々がご来場くださいました。ご来場くださった皆さま、ありがとうございました。
最初に、理事長の久保春海先生(NPO法人日本予防協会理事長・東邦大学名誉教授・渋谷橋レディースクリニック院長)よりご挨拶がありました。
「多岐にわたる要因の下では、現在の不妊カップルより何倍も多い不妊予備軍が増加傾向にあると推定されております。ですから、どんなに不妊治療の先進テクノロジーが進歩しても不妊は決して無くならない、むしろ不妊は増えていると云わざるを得ません。これらのことからわれわれは不妊予防の必要性を重要と考え、不妊予防協会を立ち上げて若いカップルへの啓蒙活動を率先して行っております。今回のフォーラムは予防医学に於けるヘルスリテラシーの一環として、不妊リテラシーについて知識を得る絶好の機会であると確信しております」
このご挨拶は配布資料としても来場者の方々に配られましたので、そちらも下記にご紹介させていただきます。
講演のトップバッターは、私、永森でした。今回私からお話させていただいたテーマは「パパになるのは簡単なこと?- みんなで知ろう 男性にとっても大事な知識 - 」。
子どもができずに悩み、ご相談にいらっしゃるのは女性だけではありません。不妊の原因の約48%は男性に問題があるとされ、男性も深い悩みを抱えています。「『自分が原因で将来子どもができないかもしれない』なんて考えたこともなかったし、想像もしたことなかった」という男性がほとんどです。
若い世代の方々は、社会に出てからのビジネスにおけるキャリア形成のことに意識がいきがちですが、ライフイベントを含む人生トータルのライフキャリアについて、正しい知識を持つこと、また可能性について想像してみることもとても大事なことだということをお話させていただきました。
次は、齊藤英和先生(国立成育医療センター元副センター長)より「男性・女性の妊活適齢期っていつ頃?」というお話がありました。
女性が第一子を出産する平均年齢が30年前より4歳高齢化していること、またこの4歳の差によって人の妊娠する能力が低下し、不妊治療を受ける方が急増している実状についてお話くださり、男女共に不妊にならないようにするために、日常生活の中でどのようなことに気を付けたらいいのか、大変わかりやすくお話くださいました。齊藤先生は、東京都が発行している「いつか子供がほしいと思っているあなたへ - あなたの将来を守る正しい知識-」という小冊子の中でも、「男女とも妊娠適齢期は20代」とアドバイスをなさっています。
続いて、内閣官房参与でもいらっしゃる吉村泰典先生(福島県立医科大学副学長・慶應義塾大学名誉教授)より、「女性が健やかに輝き続ける社会を目指して」というタイトルで、なぜこうまで不妊で悩む方が増えたかの背景や、不妊の現状、また女性やカップルが妊娠前から将来の妊娠を考えながら自分たちの生活や健康と向き合う「プレコンセプションケア」の概念や、他国の取り組み等多くのデータをもとにお話くださいました。
次に、参議院議員・元少子化担当大臣の森まさこ先生が登壇され、ご自身が不妊治療と仕事との両立に苦しまれたご経験と併せて「不妊治療のためにやってきたことと、これからやりたいこと」についてお話くださいました。
森先生は、福島県のご出身で東北大学法学部卒業、弁護士資格もお持ちですが、ご自身の思いに向かうその実行力の高さとバイタリティーに満ちたお話に、私も含め来場者の皆さん引き込まれていらっしゃいました。
そして、NPO法人日本不妊予防協会副理事長の菅原延夫先生(福島県立医科大学特任教授・いわき婦人科理事長)からのご挨拶。菅原先生は、いわき市で長年ご活躍されていらした地元のドクターで、今回いわき市での不妊予防フォーラムの開催は2回目とのこと。来場者と気さくに触れ合う菅原先生の様子からも、地元でどれほど信頼が厚いドクターなのかがわかりました。
最後は、本多つよし先生(福島県立医科大学地域産婦人科支援講座教授)より閉会のご挨拶でした。
本多先生の言葉は、福島県で長年患者を支えていらした自負と、これからも変わることのないその想いで溢れていました。個人的にお伺いした3.11の時のこと、先生方が味わわれた苦悩や葛藤が、更に”今”、地元を大事になさる活動に繋がっていることを身に染みて感じた次第です。
不妊の現状をそれぞれの立場で憂慮し、多くの提言をされてこられたエキスパートな先生方、また地元いわきでさまざまなご経験を共有してこられた強い絆を持つ先生方とご一緒させていただきましたこと、大変光栄でしたし、多くの学びがありました。
貴重な場にお声がけいただけましたことをあらためて感謝申し上げます。ありがとうございました。不妊予防が大事な取り組みであることを再認識した時間でした。
スタッフの皆様もお疲れ様でした。
永森咲希
Comments