・2021年12月23日(木)科目:キャリアデザイン(講義105分)
全学部・全学年対象(120名)
コロナ禍の終息が見えないまま迎えた2021年の年末、12月23日に亜細亜大学のキャリアデザインの授業の講師を務めさせていただきました。対象とする学生さんは、全学部・全学年で履修制限をして120名ほどで、私の授業のテーマは、「キャリア形成と 子どもを持つ・持たない・持てないを考える」。
学生の方々に向けて”不妊”の実状を伝えることが、長年の私の願いでしたので、その機会をいただけたことに心から感謝し、準備させていただきました。
私は、2014年に、不妊に悩む方々をサポートするため、一般社団法人MoLive(モリーブ)という法人を立ち上げました。以来、カウンセリングや当事者同士のわかちあいの会の主催、イベント開催といった活動を続けてきましたが、何年という時間が流れても、当事者が抱える悩みの質に変化は感じられず。
不妊で悩む方の中には、
「妊娠適齢期を知らなかった」
「子どもは、年齢が少し高くなったとしても自分が健康ならできると思っていた」
「不妊治療というものを受ければできると思っていた」
とおっしゃる方が多く、35歳前後から妊孕性(妊娠する力)が低下することや、見た目の若さや健康具合と妊娠は関係がないこと、不妊治療を受ければ必ず妊娠できるというものではないといったことを知らない方の多さに、危機感は増すばかり。「これは学生さんたちに伝えなくては!」と思ったことがきっかけで、この日を迎えることになりました。
今回はオンラインでの授業。
初めて100名以上の学生さんに向けての授業をさせていただくのに、学生さんの反応がその場の空気感を通してわからないということに、少々戸惑いがありました。且つ、直近の若者の課題、”就職”で恐らく頭がいっぱいであろう若人に、「子どもを持つこと・持たないこと・持てないこと」について話をして果たして届くのだろうか?? まだ結婚もしていないのに・・・^^; という懸念もありましたが、「若いうちから持つべき知識」というものが必ずあり、まさに不妊の問題はそれに匹敵する!と初志に立ち戻り開始。
人生におけるキャリア、人に必要なキャリアとはどういうものなのかについて、「子どもを持つ・持たない・持てない」の視点から考えていただきました。私自身の体験についてもお聞きいただいたり、男性不妊についてもしっかりお伝えする中で、多様な生き方に触れ、男女共各自に起こり得る将来のイメージについて、我が身に置き換えて考えていただくワーク時間も持ちました。
終了後、私の講義は学生さんにとってどんな意義をもったのだろう、どんな受け止め方をしてもらえたのだろうかと、手ごたえが不透明な分どこか消化不良を感じていたところに、大学の担当の先生から学生さんたちの感想レポートが送られてきました。
感動・・・。
レポート提出は義務だとはいえ、とてもたくさんの感想をいただきました。
しかも、私が伝えたかったこと、まさにド・ストライク!でした。
どのような感想をいただけたか、少しご紹介します(いただいた感想そのまま抜粋していません)。
【男性側】
最初は男の自分に関係ない話かなと思っていたけれど、妊娠・出産って女性だけの問題ではないんだと初めて知り、考えさせられた。
将来、自分に子どもができないという事実を突きつけられた時、パートナーのために自分のできることを精一杯したいと思う。そして、自分の気持ち、パートナーの気持ち、お互いのために言葉を大事にしていきたいと思った。
さまざまなキャリアをイメージしながら、人と同じでなくても、自分のキャリアを大事に、回復する力や適応する力を身につけるよう努力したいと思う。
突然夫婦に降りかかる不妊の問題、大きな悩みとなることを知った。その問題に直面した時に、どうすべきか、何ができるのか。今のうちから考え、将来、パートナーも子どもも幸せにできる男になろうと思った。
【女性側】
子どもが持ちたいと思った時のために、自分なりに勉強し、基礎体温を測ったり、排卵検査薬を使ったりして、今の自分の身体を知っておこうと思った。
何も考えず漠然と”子どもが欲しい”と思い、子どもについては育てることだけをイメージしていたが、授かることが難しいこともある事実を初めて知った。とても大きな学びだった。
この授業を受ける前は、不妊という言葉は知っていたが、実際悩んでいる人は少ないのだろうと思っていた。そして、子どもは簡単につくれるものだと思っていた。だが、今回の講義を受けて考え方が変った。仕事が続けられなくなったりして大変なこと。男女共に真剣に考えなくてはいけないことだと強く思った。
私は今は子どもが欲しいとは思っていない。だから、最初は関心がなかったが、講義を聴く中で、いつか自分の気持ちも変わる可能性があること、欲しいと思った時のために知識を持ち併せておくことの重要性を学んだ。
・・・・・・・・・etc.
本当に本当にたくさんの「気持ち」「想い」を聞かせていただくことができました。
学生のみなさん、聴いてくださりありがとう。感想をありがとう。
最後に。
今回お声をかけてくださった、亜細亜大学国際関係学部 特任准教授の野々垣みどり先生に心から感謝申し上げます。
永森咲希
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