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東京工芸大学工学部にて、不妊についての出張授業させていただきました

去る2023年、しとしと冷たい雨の降る6月15日、創立100周年を迎えた東京工芸大学工学部にて、「キャリア形成と子どもを持つ・持たない・持てないを考える」といういつものテーマで出張授業をさせていただきました。



東京工芸大学は、創設当初から「テクノロジーとアートを融合した無限大の可能性」を追求し、工学部(厚木キャンパス)と芸術学部(中野キャンパス)から、多くの多才な人材を育成し続けています。写真をはじめとするテクノロジーとメディアアートは、時代の変化と共に進化し、国際社会の中でなくてはならない最先端分野。


そんな活気溢れる大学の、情報技術に強い工学部にお邪魔することになったのですが、喧噪から離れた厚木キャンパスはなんとも美しい!勉学に集中できそうな清々しい環境で、しとしと雨が、緑を一層鮮やかに映し出していました。



東京工芸大学工学部は9割近くが男性の学生さんとのことですが、今回ご縁をいただいたのは、工学部教授の山田勝実先生。"子どもを持つ・持たない・持てないを考える"授業は、「学生にとってとても大事な授業」と高い関心をお持ちくださり、特別授業枠を準備くださいました。


最初は、「こういう類の授業は稀ですし、生徒数はかなり少ないんじゃないかな~」と少々弱気の発言をされていた山田教授。果たしてどのくらいの生徒さんが興味を持って聴講してくださるか不透明な状態でしたが、「それでもいいんですよ、たとえ生徒数が少なくても実施することに意義があります」とおっしゃってくださり、授業会場に移動。


するとすると、男性の学生さん、続々と入室されるじゃないですか!





こんなにたくさんの学生さんが出席くださったのは、今回スペシャル企画だったからかもしれません。男性の生徒さんが多いということもあり、今回は一般社団法人AID当事者支援会代表の寺山竜生さんとのコラボ授業という企画でした。


寺山竜生さんは、37歳で結婚し、38歳の時に、ご自身が無精子症と診断され、非配偶者間の生殖医療を受けられました。無精子症という事実を受け入れるまでに1年という時間を費やされましたが、今は2児のお父さんです。



不妊の原因の約半分(48%)は男性にあります。それを知らない若い世代の男性は多い。「将来自分に原因があって子どもができないかもしれない」なんてことは想像もせず、若いうちはむしろ、「妊娠させないように」ということに意識が向いています。


寺山竜生さんの話は、学生の皆さんにとってこれまで聴いたことのない類の話だったのかもしれません。無精子がわかった衝撃。その後どのような心のプロセスを辿ったのか、夫婦の間にはどんな難しさがあったのか、第三者の精子で子どもを授かるってどういうことなのか、そして今はどんな心持ちでどんな風に暮らしているのか等々、寺山さんの貴重な話に、「えーっ」という驚きの表情を見せる人あり、腕を組んで考え込む人あり、皆さん食い入るように寺山さんの話を聞いていました。



寺山さんは台湾で非配偶者間の体外受精を受けてお子さんを授かりましたが(この講義のあと第2子目を授かり、年末にはパパになられました)、今はとても幸せで、お子さんが可愛くてしょうがなく、将来成人して離れていくことを考えると胸が痛むと、今の心境についてもお話しされました。


子どもを願っても叶わない人たちもいます。パートナーとふたりでも家族。家族形成の在り方はいろいろあっていいということを、寺山さんも私も、皆さんに届けたい一心でした。


そして、やはり自分事として考えていただくには、グループワーク。



4-5人のグループになっていただき、寺山さんと私から質問を投げかけていきます。キャンパス内で会ったことも話したこともない学生さん同士がグループになり、将来「子どもを持つ・持たない・持てない」の話をする、、、皆さんにとっても不思議な時間だったことでしょう。


一見ハードルが高そうですが、ところがどっこい、皆さんちゃんと話してくださるんです。真剣に考えてくださるんです。自分がもし無精子症になったら・・・と。パートナーが無精子症だとわかったら・・・と。



質問をしてくれる学生さんもいます。



今の日本では、4.4組に1組の夫婦が子どもができずに悩み、その悩みの約半分は男性にあるという実状について、ここにいる若者だけにでも届けることができ、頷いてもらえてよかったと、心から思いました。


社会人と違って学生さんたちは基本的にリアクションが薄く(シツレイ!)、こちらの思いが届いたかどうか計りかねるところがありますが(相槌や頷きって、社会に出てから学習するものなのかもしれませんね^^;)、授業後いただいたアンケートでは、95%の学生さんがよかった&とてもよかったと回答くださり、寺山さんや私の心に染み入る、感動さえ覚える感想をたくさんいただきました。



工学部の皆さん、真摯に耳を傾けてくださりありがとうございました。

人生の道は恐らく曲がりくねっています。思いがけないことに直面し、理想通りにはいかないことばかりですが、何があったとしても、自分の道を切り開くのは自分だけ。


どうかご自分をあきらめず、自分のことを大事に、がんばったことを誇りに、小さな歩を重ねてください。



山田勝実先生、貴重な機会に心から感謝いたします。

ありがとうございました。


皆さんの前途を応援しています。



※ 一般社団法人ライフキャリア妊活サポート・モリーブでは、教育機関と連携して、「子どもを持つ・持たない・持てないを考える」特別出張授業をご提供しています。このような出張授業に関心をお持ち、またご希望の皆さま、ぜひ下記をご覧の上ご連絡くださいませ。


https://molivefor.com/educational/



オフィス永森

一般社団法人ライフキャリア妊活サポート・モリーブ

代表

永森咲希




















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