先日の日曜日(2019年11月10日)、「ハーバード大学 Jorge Chavarro先生 初来日記念講演会」に伺ってきました。
本講演は「納得感の高い生殖医療のために、栄養やライフスタイルがART成績に及ぼす影響について」がテーマ。 栄養やライフスタイルがARTに及ぼす影響についての最新のエビデンスを、それぞれの領域における先生方がご講演くださいました。
冒頭に、講演会を主催された株式会社パートナーズの細川忠宏代表のご挨拶。
アメリカのJorge Chavarro先生を訪ね、「Fertility Diet」という先生の著書を翻訳させて欲しいと直談判されたことから、今回の講演に繋がっているというお話を聞かせていただきました。
その書籍は2013年に出版された「妊娠しやすい食生活」(マグロウヒル・エデュケーション社)。この本では、全米で18000人の女性を対象に行われた「看護師健康調査」のなかから、科学的根拠に基づく新しい事実が紹介され、調査の結果、精製された炭水化物、悪い脂質、赤身の肉を減らし、代わりに全粒穀物、良い脂質、植物性タンパク質を摂ることで、妊娠するチャンスが増えるということが書かれています。
私自身常々、口から摂取するものがどれだけ体に影響するか、その重要性を感じています。小さな鎮痛剤が飲むとすぐに効くわけですから。食や栄養素が妊孕性に大きく影響すること、自然なこととして耳に響きました。
実際のプログラム内容は、
13:10-
プレコンセプションケアの妊孕能への寄与
太田邦明 先生(福島県立医科大学ふくしま子ども・女性医療支援センター講師)
14:00-
自らできる卵巣機能不全対策 -ライフサイクルの改善、サプリメントの挑戦-
河村和弘 先生(国際医療福祉大学 医学部 産婦人科 教授)
14:50-
精子力向上のために -コンパニオン診断としての精子機能検査-
岡田弘 先生(獨協医科大学埼玉医療センター病院長 泌尿器科主任教授 リプロダクションセンター統括者)
15:40-
食(栄養)とART治療成績 -EARTH Studyからの最新のエビデンス-
Jorge Chavarro 先生(Harvard T.H. Chan School of Public Health, Harvard Medical School)
妊娠にどれだけ”葉酸”が大事かといったその重要性や、喫煙やカフェインの影響を考えたライフスタイルの改善等々、不妊予防的観点からも多くを学ばせていただきました。
特に興味深かったのは岡田先生の「精子力向上のために」。今の妊活の現状と問題点をお話くださる中、昨今しばしば耳にする「精子力クライシス(精子を取り巻く危機)」とはどういうことなのか、多くのファクトデータをベースに紹介くださいました。
不妊原因の約5割は男性に問題があります。男性に原因があったとしても、治療を受けるために通院するのは女性であることも、周知されていません。まだまだ「不妊は女性の問題」と片付けられがちですが、多くの方々にこの実状を知っていただきたいとあらためて感じた時間でした。
「子どもができなくてがんばること=恥ずかしいこと」ではありません。
「子どもができないこと=悪いこと(後ろ指さされるようなこと)」でもありません。
女性も男性も、新しい命に向けて努力することは尊いこと。
多様性を受け入れる社会だからこそ、まずその状況、その立場を知ることが大切。
温かく応援して欲しいと思います。
「精巣の温度が上がらないように注意する」
大事なことだそうです!
永森咲希
Comments