去る1月12日(2023年)、母校の聖心女子大学にて、『キャリア形成と子どもを持つ・持たない・持てないを考える』というテーマの出張授業をさせていただきました。
聖心女子大学では、2022年度の後期、現代教養学部全学年共通の「グローバル共生研究XII」という授業科目の中に、『周産期の現場から命を考える』」というテーマの授業を、コースで計14回実施。その企画と運営をされたのは、現代教養学部 心理学科 教授の中野博子(なかの ひろこ)先生と、准教授の神前裕子(こうざき ゆうこ)先生と、出産ジャーナリストの河合蘭(かわい らん)さんですが、私は今回、その中の1回の授業を担当させていただきました。
(学校で話すには馴染みのないテーマ。だからこそ、知っててもらいたい)
女子大だから当たり前ですが、もちろん、みんな女子。女子大生に向けて気をつけたことは「女性にありがちな視点に偏らない考え方が持てるように」。女性同士、男性同士のカップルもいますし、男女差別的な考え方に繋がらないように、ジェンダーの視点というより生物学的な性別の視点でお話させていただきました。
女性には妊娠・出産する機能が備わっていますが、男性は備わっていません。われわれはそれを当たり前の知識として持っていますが、十分な学びなく当たり前にしてしまうことには疑問があります。なぜなら、妊娠と出産に関しては、いくら男女平等社会とはいえ、「担当替えをしたり、分担したりできない」わけで、男女で意思疎通を図ることがとても難しいから。子どもができずに悩む環境では、ことさらです。
(女性にありがちな視点に偏らない考え方が持てるように)
人間個々の"在り方”として男女平等は必要な概念ですが、生物学的に男女は体がまったく違う生き物だということや、何ができて何ができないのかということを、若いうちから知り、意識化しておくことはとても大事なことだと思います。
不妊治療中の女性は、治療や通院のために体を酷使します。仕事と治療の両立のために苦労をするのも女性です。「私ばっかり通院の苦労をして」とか、「なんでこの辛さを、夫はわかってくれないの!?」「私がこんなに辛い思いをしてるんだから、わかって当然なんじゃないの!?」と、男性の理解不足を嘆いたり憤慨したりする女性が如何に多いか(何を隠そう、わたしがそうでした^^;)
でもその状況は、ある意味当たり前なんですよね。だって、男性の体には妊娠をする機能が備わっていないから。わかろうにも、それまで知識も経験も想像もしたことがないわけで、わかりようがないといったところでしょう。「男女は同じはずなのに(男女平等)」と、偏った概念だけで事に向き合うと、自分が苦しむことになってしまう。
"違う"ということがよくわかっていれば、その違いに腹を立てるのではなく、その違いを埋めようとする原理が働くのではないでしょうかね。
(とっても真摯に考えてくれる学生さんたち)
「子どもが欲しい」という思いは女性だけが持つものではありません。多くの男性もまた、我が子を抱き、我が子との人生を歩みたいと、父親になることを願います。そんな男性たちに、子どもができない要因があることもある。こうした男性不妊のことも、女性は若いうちから知っておいた方がいい。将来起こり得ることについて、男女共に想像してみた方がいいんです。
私の授業はワーク(セルフワーク&グループワーク)がポイント。現実的に想像しにくい話ですから、学生さんたち、ただ聴くだけじゃ眠くなっちゃいます。自分事として想像していただくために、このワークの時間が重要なんですね。実際、皆さん大変真摯に考えてくださいます。
(どんな意見や考え方を持っていてもいいことが大前提のワーク)
且つ、このワークの時間があって、授業の空気がなんとも和むんですね。
しかも毎回、大学生の皆さんが想像しているよりずっと大人だということを、ワーク中の発言、提出してもらうワークシート、また感想などから痛感させられます。
(どんな意見や考え方を持っていてもいいことが大前提のワーク)
なんで、この出張授業を始めたか。
私自身が、不妊治療中、「なんで、誰も教えてくれなかったの~~!?」と思っていたのにそれを誰にも言えなかったから。
若いうちから、子どもができないことについて、不妊治療について、男性不妊について、仕事と不妊治療の両立の難しさについて・・・etc.、不妊を取り巻く日本の現状について知っていてもらいたいから。その一言に尽きます。
学生の皆さんからはとてもたくさんの感想をいただきました。ありがとうございました。
(一部抜粋)
自分と不妊の問題はまったく関係のないものだと思っていたけれど、そうではないと気づかされました。大事なことを教えていただき、ありがとうございました。
幅広い知識を持つことで選択肢を増やし、追い詰められないようにしたいと思いました。そして、将来自分が子どもを持つにしろ、持たないにしろ、きちんと納得して自分の人生を肯定しながら歩んでいきたいと、今回の授業で考えることができました。
自分が生まれてきたことは奇跡であり、両親に感謝の気持ちでいっぱいになりました。
子どもが持てなくても、その人の人生も大切でかけがえのないものだということを改めて気づかされました。子どもは欲しいけれど、さまざまな選択肢があるということを理解して、冷静に物事が見れるように心がけていきたいと思いました。
この日、休まず学校に足を運んでよかったと思える授業でした。
最終的なゴールは妊娠ではなく、その先の未来であると感じました。未来の幸せのためには夫婦で支え合っていくこと、お互いを尊重しながら会話を重ねていくことだと思いました。
・・・・・etc.
母校の学生さんたちに伝えられたこと、しっかり学生さんたちに届いたこと、感無量です。
素晴らしい機会をくださった、中野先生、神前先生、河合さんに心から感謝いたします。
ありがとうございました。
(神前裕子先生、ありがとうございました♡)
?十年ぶりの母校の正面入り口にて。
卒業以来、紆余曲折、なかなかスパイシーな人生を歩んでいますが、こういう形で訪問できたこと、幸せでした。
All is state of mind.
「子どもを持つ・持たない・持てないを考える」授業に関心のある方、実施をご希望の方、ぜひご連絡くださいませ。
※ 一般社団法人MoLive(モリーブ)では、教育機関と連携して、「子どもを持つ・持たない・持てないを考える」特別出張授業をご提供しています。このような出張授業に関心をお持ち、またご希望の皆さま、ぜひ下記をご覧の上ご連絡くださいませ。
https://molivefor.com/educational/
オフィス永森
一般社団法人MoLive(モリーブ)
代表
永森咲希
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